近年、新たな接客方法としてリモート接客の導入が進んでいます。
2018年に公開されたリモート接客市場の売り上げ予測を見てみると、2016年度の売上金額は17億円で前年度と比較して142.9%増加し飛躍的に伸びました。
それ以降も伸び続ける予測が立てられています。
この予測が立てられた時点ではまだ新型コロナウイルスが発生していなかったため、実際には予測よりさらに大きく伸びているのではないかと推測できます。
今回はそんなリモート接客を各業界での使用事例を交えながらご紹介していきます。
リモート接客とは
リモート接客とは、インターネットを使い店舗に来店していないお客様に遠隔で接客体験を提供することです。
2020年に新型コロナウイルスが流行し、外出の自粛で多くの企業はリモートワークを導入しました。
そんな中、売り上げを大幅に減少させることとなったのは対面での接客がメインの営業形態だった企業です。
そこで注目されるようになったのがリモート接客。
今まで対面が基本とされていた接客形態をインターネット上に移すことでコロナ禍を生き抜き、さらに新たな商圏獲得が可能となりました。
リモート接客を導入した業界
リモート接客はどのような業界で取り入れられているのでしょうか。
今まで対面での接客が当たり前とされてきた12の業界をどのようにリモート接客を取り入れているのか実例を交えながら説明します。
不動産業界
不動産業界では、物件の説明や内覧などでリモート接客の導入が進んでいます。
今まではモデルハウスや紹介する現地の土地で接客を行っていましたが、WEB上でも実際に対面で説明するのと同等のサービスを提供できています。
また、賃貸取引では重要事項説明をリモート接客でも行うようになりました。
リモート需要は増えつつあるのでさらに他の部分もWEB上での取引に移行していくかもしれませんね。
アパレル業界
アパレル業界ではリモート接客を通して実際の来店できないお客様にも商品の提案や着回しのアドバイスを行っています。
元々ECサイトが強かったアパレル業界ですが、リモート接客を導入したことで更に大きく商圏が広がりました。
テレビ電話型だけでなく、広告を出すポップアップ型やスタッフのコーディネートをWEB上に載せて購買意欲をそそる方法など様々なツールを利用してリモート接客が取り入れられています。
ジュエリー業界
ジュエリー業界でもオンライン上で商品の購入体験をしていただけます。
ジュエリー業界は単価が高い業界なのでふらっと立ち寄るのを敬遠されがちですが、リモート接客であれば画面を介しての接客なので利用のハードルが下がります。
また、オーダーメイド商品の提案などもオンライン上で行われており、顧客単価が高くなっています。
家電業界
家電業界では商品の機能や周辺機器の説明などをリモート接客を通して提供しています。
リモートのシステムを取り入れてから実店舗のみの時と比べて女性のお客様が増えたという報告もあります。
専門知識が豊富なスタッフから説明を聞けることでお客様は満足し、コンバージョン率も店頭接客以上の結果を残しています。
査定業界
対面接客スタイルが普通だった査定業界。
ここでもリモートでの対応が進んでいます。
オンラインの機能を使いタイムリーに商品を査定、買取りすることができるようになりました。
お客様は店に持ち込む手間が省けますし、出張買取を行っている店舗なら移動時間や人件費を削減できます。
オンライン上で完結するので遠方の店舗で買い取ってもらうこともできるのでお客様にとってベストな価格で物を手放せるというメリットもあります。
ホテル業界
ホテル業界ではチェックインやチェックアウトなどでリモート接客が導入されています。
チェックインの順番待ちで部屋に入る前に疲れてしまうなんてことありますよね。
リモート接客の導入でオンライン上で事前にチェックインを済ませ、ホテルに着いたらそのまま客室へ・・・というスムーズな案内ができるようになりました。
余計な混雑や面倒な手続きが不要なのはありがたいですね。
葬儀業界
新型コロナウイルスの影響で葬儀業界にもリモートでの対応が広まりました。
遠隔で亡くなった人とお別れができるリモート葬儀。
感染予防で密になる状態を避ける傾向があるため導入が進められました。
遠くにいても参列することが可能となったことで足の悪い高齢者や海外在住の人まで参加できるようになりました。
フィットネス業界
フィットネス業界ではヨガやパーソナルトレーニングなどを中心にリモート接客が導入されています。
スマホがあれば自宅や出先など、どこにいてもレッスンを受けられます。
教室でレッスンを受けるより安価なことが多く、手続きの手軽さも人気の要因です。
器具を他の人とシェアすることもないので感染の心配もありません。
ネットカフェ業界
ネットカフェ業界ではお客様の少ない時間帯を中心にリモート接客が取り入れられています。
入会や受付、会計業務など今までカウンターでスタッフが行っていた業務を接客ツールで行えるようになりました。
何かあれば待機しているスタッフが店舗に赴き対応します。
店舗でスタッフを常駐させる必要がなくなったため人件費の削減に役立っています。
コワーキングサービス業界
貸し会議室やセルフエステなど場所を貸すサービスでもリモートの対応が取り入れられています。
事前の予約はもちろんのこと、当日の鍵の受け渡しにスマートロックを採用するなど無人での営業が可能です。
小売店業界
小売店業界ではリモート接客を活用し専門スタッフがお客様にサービスを提供しています。
例えば化粧品業界では商品の使い方から肌悩みの相談まで店頭と同じように接客を受けることができます。
自宅で気軽にほしい商品の説明を聞けるので利用しやすいのがメリットです。
これからも多種多様な商品でリモート接客の需要が増えるのではないでしょうか。
クリニック業界
医療業界ではリモートでの診療が導入されています。
元々遠隔での診療はありましたが、コロナ禍で非対面の需要が増え、自由診療であれば初診からオンライン上で行えるようになりました。
忙しい人にとって検査の結果を聞きに行くためだけに病院に行くのはストレスですよね。
リモート診療では事前の予約で待ち時間も病院まで行く時間も省けます。
また、感染症の心配もないので受診するハードルが下がるでしょう。
介護業界
対面での接客が当たり前だと思われがちな介護業界。
ここでも少しずつリモート接客が取り入れられてきています。
コロナ禍で施設内での感染拡大を防ぐためWEB上で家族と面会ができるようになりました。
また、体が動くお年寄りを中心にリモートで施設のスタッフと利用者が一緒に体操をしたり会話するサービス提供の実証実験も進められています。
リモート接客でできること
リモート接客が様々な業界で形を変え取り入れられていることを説明してきました。
それでは、リモート接客を取り入れることでどのようなことが期待できるのでしょうか。
オンラインならではの特徴をユーザーサイド、接客提供サイド両方向から見ていきましょう。
ユーザー側
はじめに、リモート接客のユーザー側でのメリットを紹介します。
非対面で接客を受けられる
リモート接客はスマホやPCなどの画面を介してサービスを受けるため接触を避けられます。
感染症の心配をせずに接客を受けることができ安心です。
また、対面だと緊張してしまいスタッフに声をかけられない人にとっても利用しやすいサービスでしょう。
店舗に足を運ばなくて良い
自宅や職場にいながらサービスを受けることができるので外出する手間が省けます。
暑い日や寒い日など買い物したいけどわざわざ出かけるのはちょっと・・・という時や、体が不自由な人、妊婦さんなど外出しづらい人にとって自宅にいながらサービスを受けられることがメリットです。
相談したい時に相談できる
自分の都合のいいタイミングでサービスを利用できます。
スキマ時間を活用して利用できるので前後の予定について頭を悩ませることがありません。
また実店舗だとふらっと時間つぶしに寄ったお店で接客を受けバツが悪くなるというようなこともありますよね。
リモート接客では自身で予約するためそのようなこともなくなります。
接客提供側
続いてリモート接客の提供側でのメリットを紹介します。
人件費を削減できる
オンライン上でサービスが完結するためお客様を待つ時間がなくなります。
また、客数が少ない店舗があれば、予約時間にその店舗からリモート接客に人員を割くことができるので効率的に営業できます。
顧客データを蓄積できる
事前にご予約いただいて接客にあたれるためお名前をはじめとした様々なデータを得ることができます。
購入いただいたお客様はリピートでの利用時にスムーズに接客することが可能です。
仮に購入に至らなかったとしても次回の接客に生かすこともできますし、お客様に合わせたイベントやクーポンの提案などアフターフォローで役立つでしょう。
商圏を広げられる
リモート接客を導入するとサービスの範囲に限りがなくなります。
全国のお客様に接客することが可能ですし、希望があれば海外向けにサービスを展開することもできます。
ターゲットに出来るお客様が増えることを上手く利用すれば企業の認知を拡大し大きく売り上げを伸ばすことができるでしょう。
リモート接客で接客体験を変えよう
リモート接客は様々な業界で取り入れられています。
今まで対面での接客が当たり前でリモート接客のイメージがつかなかったような業種でも形を変え少しずつ浸透してきました。
オンライン上でサービスを提供することで利用するハードルはぐっと下がり、新しい顧客の流入も期待できます。
対面の接客だけに囚われずどの部分だったらリモートで提供できるのか導き出し形にしていくことがこれからのIT社会で生き残るすべになるのかもしれません。